金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「菜乃…やっぱり奇跡だよ。
君に会えて恋をした。それだけで…僕はとても幸せだよ。

そして…君はもうひとつの奇跡を知ってる……」

瑠璃は優しく微笑む。

「……もうひとつの…キセキ?」

「君が、彼に出会えたこと。
それもキセキ。悔しいけれど…(笑)」

「はっ!瑠璃……身体が…消えかかってる…。
イヤ…イヤだよ瑠璃、行かないでっ…。」

私はひたすら首を振る。

「君が大好きだよ。だから連れては行けない。」

スカートのひだを両手で握りしめる。



私もだよ…瑠璃、大好きだよ。



言葉にならない。



「そうだ。最後の金魚占い。
菜乃に……これを。」

瑠璃は、私の手のひらにそっと金魚の飴を乗せた。

「真っ白な…金魚。」

「中身も真っ白な飴玉。」

「瑠璃…コレ…?これは?」

「これはね………」



“ 生きるんだっ ”




ハッとした私は思わず一瞬…広斗の方を振り返る。

「 広斗っ…!! 」

「菜乃っ!つかまれっ!
いいから、つかまれーーーっ。」

広斗が必死で腕を伸ばす。

「俺は死なねぇっ!お前の事も死なせねぇからなっ!」

広斗のがむしゃらな生命力に私は手を伸ばす。

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