金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
広斗の指先が私の指先に触れる。

「時間だ。

さよなら…菜乃。」

瑠璃は静かに微笑むと私に背を向けた。

「瑠璃っ!待って。
瑠璃っーーーー!!」

強い光と共に、激しい突風が小さな店に渦を巻く…私を捕まえて、引きづり込もうとでもいうように…。

まるで海鳴り。

地の底から這ってくる津波のような気流が私を飲み込もうとする。

その時……。

広斗の手が、がっしりと私を掴んで、ぐっと力強く引っ張り上げた。


“ 大好きな君が、幸せでありますように。”


瑠璃は少し振り返って、うなづいた。



瑠璃…瑠璃…こんなのイヤだよ


こんなお別れ…イヤだって。



筋肉質な腕。

血管の浮き出たその手の力に、私は両手を伸ばした。


「掴まれ!!しっかり掴まれ」

広斗……

生命力に溢れたこの腕に、私はやっぱり惹かれてしまう。


生きる。



生きることに惹かれてしまうのは…

私は…まだ生きているから。



生きてる。


“ お前の罪なんか俺がなんとかしてやるっ!”


私……幸せを探していい…?

私……奇跡を信じていい…?







< 131 / 160 >

この作品をシェア

pagetop