金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
男を全面に押し付けて来る…そんな存在に抵抗を感じる。


今の私に……

男の子は 怖い。

傷つけられそうで… 怖い。


こんなに知らない町で…私を放って置いてっ!

私に……

近寄らないでっ!



「 おいっ。 待てよっ!! 」


今度は、はっきり聞こえたその声を無視して…私は賑やかな商店街を歩く人々の陰に、身を眩ませた。



はぁ…はぁ…

走ってばっか、

逃げたいのかな。

何か…色々な事から逃げたいのかも、私。


はぁ…はぁ…あっ…。

顔を上げると、すごくいい匂い。

お腹が勝手に空いてしまう匂い。

揚げ物屋のおばちゃんが 私を見て笑い掛ける。


「はいはい。いらっしゃい、コロッケ揚げたてだよっ。」

いかにも、揚げ物屋のおばちゃん…

おばちゃん自身が美味しそうなその笑顔に、私は軽く会釈すると…揚げ物がずらっと並ぶショーケースに後ろ髪を引かれつつも、また前に足を進めた。

よく見ると…なんとも

昭和レトロな商店街。

私は、そっと振り返り……さっきの男の子が追って来ない事を確認すると、ふぅ〜と息を吐き出した。

なんだか……久しぶりにドキドキした。

胸の奥を……身体を……ギューーーっと掴まれるような激しい鼓動に呼吸が苦しくなる。


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