金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
私の絵馬を瑠璃の書いた絵馬に重ねる。

涙で視界が滲む私に代わって、広斗がしっかりと紐を結んでくれた。


お願い…… お願いだから……

100回言うよ。

100年…想うよ。

君に会えるまで…

君に届くまで…


夏の匂いが鼻先を優しく通り過ぎる。

蒼くさい夏の緑にカタカタと絵馬の擦れる音が私と広斗を閉じ込めた。




「 菜乃花の子供に生まれたかった。

最後の占い  “ 永遠の愛 ” を君へ。
            
           三島 瑠璃   」


瑠璃は…私がここへ来る事を知っていたのであろうか…?

広斗は、さっき廃墟のあぶくで拾った金魚飴をポケットから私に差し出した。

「あ……色が少し違って見える。」

私が触れようとするとその金魚飴は広斗の手の平でキラキラ輝いて…見る見るうちに煙のように散らばって消えた。

「…うそ…消えた……。」

「菜乃……、一緒に未来を歩こう。
もしも期待できない明日があったとしても…そのまた先の未来の幸せを探そう。
一緒に探せば…何か見つかるかもしれないじゃん。」

微笑む広斗の胸に私はぎゅっと、うずくまる。


永遠の愛を……抱きしめる。

ぎゅっと、強く。


瑠璃……

   ありがとう。

広斗に出会わせてくれて…


   ありがとう…。



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