金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
あぶくのあった…ゆうがお楽座商店街の巨大廃墟は、しばらくして広斗の手で…その姿は静かに更地へと還った。


工事は何の妨げも無く…普段と同じく淡々と仕事が進み、

何の抵抗も無く…

そこは…静かに息を引き取った。



私はというと、高校を無事に卒業して…大学で児童心理を学んで、今は学校のカウンセラーとして働いている。

7年経った、今。

広斗の妻として…

一児の母としても。

当たり前の幸せを、小さな幸せを…大切に日々を過ごしている。

当たり前の幸せ…

ふっ…とたまに、瑠璃の言葉を思い出す。



“ 愛情って…離れて見守る事も大切だよ。”




色々な愛情がある。

時には平行線で…時には歪んで…時には重くて、残酷で……。


「蒼斗っ(笑)頑張れっ、もう少し…。」

私は少し離れた所から息子を呼ぶ。

歩き始めたばかりの蒼斗はキラキラした目で両手を突き出して、テコテコと足を一歩一歩踏み締める。



瑠璃の声を思い出す。

“ 広い世界を見てみたい…”



いつか、その小さな手と足で…広い世界を大きく羽ばたいて、歩けるように…

未来の幸せを探せる人になって欲しい。



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