金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
ぱちゃ……ぴちゃっ…ごぼっ。

膝に水しぶきを感じて、ふっと足元を見ると水面がすぐそこにあって…コンクリの生け簀に鯉たちがエサを求めて私の方へ寄り集まってきた。


うわぁっ…口を開けた宇宙人っ!

しかも、うぢゃうぢゃ……

色とりどりの鯉たちは、人の気配を感じて全員がこちらに向かって無心に口をパクパクさせる。

パク…パク…

パク…パク…

とにかく、ひたすら競うように口を開け続ける鯉の大群に…私はゾッとして一歩引く。

そのガムシャラな生命力に怯えて…慌てて金魚の水槽に助けを求めた。


ユラユラと揺れる色彩。

たくさんの…種類の金魚。

不思議なほど、優雅な美しさに…優しさと癒しを感じた。


ここ……好き。


水に溶けそうな…背びれ、尾びれ。

私に全く無関心な彼らは気まま過ぎるほどマイペースな泳ぎで水中を浮遊していた。


トサキン、デメキン、チョウビ、

オランダ……シシガシラ。


プレートに書いてある金魚の名前を、ひとつひとつ呟きながら水槽に指を滑らす。

そして、その先に…揺れる昇り旗が目に入った。

「 金魚占い 」

店先に、無造作に掲げられたその誘い文句に心が動く。


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