金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
頭に巻いていたタオルを力任せに引っ張ると…ゴールドに近い前髪が、彼の目力にオブラートをかけるようにパラパラと零れる。

やっぱり…すごく色気のあるキレイな男の子。


「あの……私に、何か…?」

「 いやっ。ごめん、別に。
ちょっと気になって……色々…。」

「 ??色々……?」

「 あっあ〜〜。制服っ!!
俺も、渚高だったからっ……。」

彼は、慌てて照れ隠しに話題を無理やり探しているようだった。

やっぱり…可愛い…

「 そうなの…。」

「 2年の時に、辞めちゃったけど。」

「 2年の時……?」

「 うん。もう、2年も前の事だよ。」

「 ……先輩…だ。(笑)」

「(笑)そう? 一応…?!」

そう言って笑うと、彼は仕事を気にしつつ現場の古い廃墟の旅館に振り返る。

「 じゃっ。」

私はドギマギしながらも…先輩だという事に少し安心して軽く頭を下げた。

「 …じぁっ…。」

「 卒業、 ちゃんとしろよっ。」

ドキっとした。

辞めようかと思っていたから……2学期、全く学校へ行く気がなかったから。

彼は、そう言うと両手をポケットに突っ込んだまま…小走りに仕事の現場へ戻って行った。
< 32 / 160 >

この作品をシェア

pagetop