金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
それに…男の子だからって、上半身裸は……

やっぱり照れる。

目のやり場に困りながらも、私は瑠璃の飄々とした背中に付いて店内を歩く。


「あのね。ぷにょにょが水の底から動かないの。
たまにね…水面近くでお腹の裏側を、見せたり……。」

瑠璃は店先の水道のホースで、歯ブラシと口を濯ぐと、半乾きの髪をかき揚げて…黙ってこっちを見た。

「ぷにょにょ…死んじゃうのかな…。」

私の目から涙が、ポロポロ零れ落ちる。

「帰ったら…死んじゃってるかも。 どうしよう…。」

「 ………… 食い過ぎじゃね。」

瑠璃は私の緊迫とは裏腹に淡々と答える。

「 …………昨日、金魚鉢にエサを袋ごと落としちゃった。
でも、ちゃんと…掃除したし…。」

「食い過ぎじゃねぇのかな。心配ないよ。
1週間くらいエサやらないで、様子みたら?」

「 ………で…でも…。」

「ほっとかなきゃ、死んじゃうよ。」

「やだぁーーーーー。それは、嫌っ。」

「じゃぁ〜、ほっときなよ。」

「 ……心配すぎる…。」

「愛情って、離れて見守ることも大事だよ。」


あ………。

そっか………確かにそうだね。


「 うん…じゃぁ…分かった、そうしてみる。」

「 大丈夫だよ。金魚ってすぐに死ぬイメージあるけど、ほっとくと長生きすんだよ。
本当は。」

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