金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
大きく聳え立つ石の鳥居の前で、瑠璃が頭を下げるから私もマネてぴょこりとお辞儀をする。

騒めく夜市の灯りからフッと外れて…薄暗く静かな境内。

夜の気配にすっかり色を変えてしまったせいか…一定の間隔で並ぶ雪洞の炎が、ゆらゆらと私たちを招き入れてくれる。

私が本坪鈴の綱をガラガラ鳴らすと瑠璃は私の分もお賽銭を投げ入れてくれた。

私たちは並んで手を叩く。

暑かった昼間の空気を、この場所は冷んやりと既に浄化が始まってる気がする。

“ 神様、どうか…あの子にごめんねと伝えて下さい。”

そんなことしか思いつかない。

どんな言葉も祈りも願いも…私には苦しい。

フッと顔を上げると、本堂の脇に小さな鳥居が並ぶ小道を見つけた。
< 83 / 160 >

この作品をシェア

pagetop