一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
芸術劇場に着くと、自然と海音は萌音と繋いでいた手を離してくれた。

まさか招待してくれた建築デザイン協会の方々の前でも手を繋いだままなのか、と危惧していた萌音は、ホッとしたと同時に右手が寂しく感じてハッとした。

゛絆されているし゛

萌音は大きく深呼吸を一つすると、

うん!

っと自分に気合いを入れ直して、海音の後を追いかけた。

「やあ、海音くん。良く来てくれたね。君の作品も展示してあるよ。他のデザイナーの作品も見ていくといい」

「湯浅会長、この度はお招きありがとうございます」

湯浅会長と呼ばれた紳士はニッコリと微笑むと、今度は海音の後方にいる萌音に目をやった。

「おや、あなたは・・・」

「彼女はこの春からわが社に入社することになった建築士、更にはインテリアとエクステリアのデザインも手掛ける流川萌音さんです。・・・私のバディでもあります」

そう海音に紹介される前に湯浅会長の前に出ていた萌音は、

「湯浅会長、ご無沙汰しております」

と丁寧に挨拶をした。
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