一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「湯浅会長に挨拶して義理は果たしたし、さっそく展示物でも見に行くか」

「はい。今後の参考にさせて頂きます」

元気な萌音の声に、仕事中は無愛想な海音の口元も多少は綻ぶ。

それも毎日顔を合わせていなければわからないくらいに些細な動き。

萌音は自分しか知らない海音の秘密が持てたようで嬉しい・・・。

!?

そんな自分の感情の動きに動揺しながらも、萌音は必死で展示物に集中した。

デザインの世界では、作品の完全コピーは決して犯してはならない大罪である。

見習いたい点、参考にしたい点を頭の中のメモ帳に書き留めておく。

他人の才能に嫉妬して行き詰まったり、アイデアが何も浮かばなくてスランプに陥ったり・・・。

だが、純粋に物作りが好きと思えば、どんな作品も先生で、教科書になった。

「あ、これ、海音さんの作品・・・」

海音と離れた萌音が足を止めたのは、街作りコンテストのブース。

とある市が募集した、記念公園のリニューアル案。

公園内のいくつかの区画それぞれに様々な案が寄せられた。

海音が応募したのは噴水を囲む憩いの広場のリニューアル。

展示されている公園の模型は、カップルだけでなく家族も楽しめて、ランニングやウォーキングを楽しむ人々にも活用してもらえるお洒落で楽しくて、かつ機能的であると好評価を得ていた。

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