一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
突然、自分の腕に抱きついてきた上目遣いの萌音に海音は内心タジタジだった。

誘惑しようと朝から押し続けてはいたが、まさかこんなに早い段階でデレモードの萌音に遭遇するとは想定外だ。

N大学建築学科内では、ツンツンモード炸裂の萌音は全身に棘が生えているのではないかと思えるほどガードが固いことで有名だった。

加えて長嶺教授の過保護。

高校3年生の夏からこじらせた初恋を認められ、ようやく萌音に近づくことを許された海音は必死だった。

ツンツンモードの萌音ですら十分可愛いのに、なんなんだ、この妹キャラの激甘モードは・・・。

「うん、一緒に楽しもうな」

絡まれていない方の手でナデナデと萌音の頭を撫でる。

気持ち良さそうに目を細める萌音を、通りすがりの学生らしき男達が見ている。

゛羨ましいだろ゛

これまでなら、そんな下心バリバリな男性の視線にすら嫉妬して、萌音の視界に彼らが入らないようにガードするのが精一杯だった。

しかし、彼女から腕を組んできて甘えてくれている。

この記念すべき瞬間から、海音の心には余裕が生まれた。

フフン、と彼らに視線を向けると、腕を組んだ萌音を促してこっそりとネット予約していたカフェに萌音を案内した。
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