転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 これは父から皇帝への単なる社交辞令だ。必要以上に気にすることなんてない。

「我が国のために、努力を続けるのだぞ」
「はい、お父様」

 父がヴィオラに目を向けるのは〝役に立つ〟と判断した時だけ。それに気づいてしまったけれど、ヴィオラができることはなにもなかった。
 解散すると、リヒャルトはヴィオラを連れて満月宮の談話室へと移動した。
 タケルがひとり暇そうに、ソファに寝転がってなにやら本を読んでいる。

「タケル様、今日はお友達のところにはいかなかったのですか?」
「ああ、ヴィオラが心配だったからな」

 心配、とはどういうことだろうか。首をかしげていたら、タケルはひょいと跳ねるようにして身を起こす。

「ほら、ヴィオラは親といろいろあるだろ? だから……」
「そこまで心配してくれる必要もなかったんですよ。でも、ありがとうございます。緊張しちゃいました」

 タケルの前では、父やザーラと確執があることを見せないようにしていたつもりだった。タケルに余計な心配をさせたくなかったから。

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