転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 やはり、時々めまいに襲われたり、倦怠感に襲われたりすることもあるようだが、いつまでも満月宮に引っ込んでいるわけにもいかない。国の最高権力者の体調不安は、国内の乱れにもつながるからだ。
 考え事をしていたから、すぐ側に来て声をかけられるまで人が近づいてきているのに気付かなかった。

「……ヴィオラ姫、ちょっといいかな」
「セドリック殿下。どうかなさったんですか? あ、ええと……セドリック殿下、お会いできて光栄です」

 慌てて立ち上がり、スカートをつまんで頭を垂れたら、セドリックは笑い声をあげた。ベンチに戻るようヴィオラに手で合図して、彼もヴィオラの隣に座る。

「君の母上は熱心にオストヴァルト帝国の貴族や各国の大使たちを訪ねて回っているな」
「母じゃなくて継母、です……王妃様もイローウェン王国のために必死なんだと思います。昨年の戦争のせいで、大変だっていう話ですし」
「それだけじゃないだろ? 君の目には、今の状況はどんな風に見えているんだ? そして、兄上はどう対処するんだろうな」

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