転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 今はまだ子供だけれど、成長したヴィオラがそう望んでくれるのなら――ヴィオラの隣に立つのは自分でありたい。

「……そうだな、ヴィオラの言う通りだ」
「そうですよ、セスは命がけで証拠を届けてくれたんですからね。そこはちゃんと認めないと――なんて、生意気ですね」

 抱きしめる腕に少しだけ力をこめたら、膝の上にいるヴィオラがしゅんとする。

「いや、いいさ。率直な意見は大事だ。なにしろ、母上もこのことは知らないんだからな」

 ただ、目の前に一本の道が開けただけだ。
 その道を開いたのが、膝の上の少女であることを、リヒャルト以外誰も知らない。
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