かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
私だって人間だ。手元が狂うことだってある。けど、言い訳に甘えてしまっているようで情けなさがこみ上げてくる。

こんな日もあるよね。けど、仕事中はちゃんと集中しないと。

そんなふうに思いながらコーヒーを片手に椅子に座り、胸元を見ると……ある違和感に気づいた。

あれ? ピンバッジが……ない。

凭れていた背中を跳ね上げ、慌てて胸を押さえる。今朝、家の鏡の前でちゃんとピンバッジが着いているのは確認した。

どうして……?

あるはずのものがない。思考回路がショートして目を見開きながら放心する。

嘘っ……ど、どうしよう! もしかして、どこかで落とした?

私の全身からサッと血の気が引いていくのがわかった。
ひったくるようにしてコーヒーの入ったカップを掴むと、私は休憩室を飛び出てオフィスへ急いだ。
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