かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
「諦めちゃだめよ、なくしものって忘れた頃にひょっこり出てくるって言うじゃない」

館川さんがパソコンの電源を落とし、帰り支度を始める。

「私はお先に失礼しますね。今夜は孫が来てるんで、長居できなくてすみません」

館川さんは恐縮しながら事務所を後にした。

「芽衣さんはまだ時間いいの?」

「ええ、今日はそろそろクリスマス関係の店頭づくりをどうしようかなって思って、レイアウトの相談に来たんですけど、もう遅いし……日を改めます」

「あー、そっかぁ……もうそんな時期ねぇ」

ピンバッジのことを思うと気持ちが沈むけれど、なんとか店の売り上げに貢献できたことは嬉しかった。

「あのね、芽衣さん」

すると、恭子さんが浮かない顔をしてじっと私を見ていた。

「どうしたんですか?」

「さっきは……館川さんの前だったから言えなかったんだけど」

恭子さんの表情を見ると、あまりいい話ではなさそうだ。だから私もそれなりに身構える。

「ピンバッジがなくなったこと……私たちを疑ったことはない?」

「え?」
< 123 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop