人殺し鬼殺し
「……ただいまぁ~」
玄関の扉を開けるとやけに静けさに包まれた空間が迎えてくれた…
いつもなら夕飯の仕度や、洗濯機の回る音が聞こえるのに、まるで人が住んでいる気配を感じられない…
「……ただいまぁ…」
ゆっくりリビングに入ると両親が四人掛けのテーブルに見合わせて座っていた。
「……ちょっと……ただいまって…」
呆れた声で両親に話しかける。
「……あっ…ヒロシ…!…お帰り……」
「…ハァ…………お帰り……」
両親の表情に生気が見られない…
父も深刻な顔をして溜め息をつくほどだ…
何かに疲れているのだろうか…?
「……な……何かあったの…?……深刻そうな顔して…」
すると母は黙ってコクリと頷いた。
かつて母がこんなに黙ったことがあっただろうか…
ただでさえ家が取り壊されるというのに…その話が持ち上がったときどころではない…
それ以上の悪い知らせがあるのだろう…