人殺し鬼殺し
「…1~…2~…3~4~5~6~7~8~9~10!!」
「…え~ヒロシ、数えんの早~い!」
ナオが口を尖らせて言った。
「……知るか!…ほらほら捕まえちまうぞ…!」
ヒロシがナオに歩み寄る。
「…いやだぁぁあ~!」
言葉とは裏腹に楽しそうに笑いながらナオはヒロシから逃げる。
しかし関東大会で短距離走の優勝経験があるヒロシはすぐにナオに追いついた。
「……はい鬼ぃ~!!」
ぽんっとナオの肩を叩くと、ヒロシはあっという間にナオと距離をとった。
「…あぁ~もぅ……いーち…に~ぃ、さ~ん…」
その時…
キーンコーンカーンコーン…
町内にも聞こえるほどチャイムの大きな音が響き渡った。
「……はい、ナオのトイレ掃除決定~!!」
「…えぇぇええ!?嫌だよ~!」
「……さすがヒロシ!」
後ろからひょっこりタケシガ顔を出してきた。
「…ちょっと今のはズルいよ~…チャイムギリギリなんて、ナオが追いつけるはずないでしょ…?」
後から歩いてユカがやってきた。