人殺し鬼殺し
教室に戻ると、ナオとユカはピンピンして席に座っていた。
「……あぁ~あ…!疲れたなぁ~!」
わざと2人が気づくように大きな声で言う。
「…あら!お疲れ様!」
「『あら!お疲れ様!』じゃないよ!」
「……いやぁ~お二人さんからトイレの臭いがしますねぇ~」
「……くちゃ~い!」
ナオも鼻をつまんで、右手でパタパタと臭いを振り払った。
もちろんオーバーアクションだが…
「…お前らいい加減にしろよ~!」
そうヒロシが言うと再び教室内で鬼ごっこが始まった。
「……んじゃまたな!」
「…バイバーイ!」
「…明日こそトイレ掃除してもらうからな!」
「……嫌だね!」
ユカが憎たらしい顔をして言った。
いつもの十字路で4人はバラバラに帰る。
ヒロシはその十字路を曲がるとすぐある八百屋の隣の家に住んでいた。
今の高校を選んだのも家が自分の家から近いからだった。