思いを乗せたカクテルをあなたに
「それで、何があったんですか?」

洋子の問いかけに、カミラは「コナミ様が、攫われました……」と神社に帰ってからのことを話した。

「……カミラさん。さっき、アーサーって言いました?」

洋子の目付きが変わる。カミラは、そのことに驚きながらうなずいた。

「そうでしたか……」

「あの、知っているんですか?」

カミラが、目を細めている洋子に問いかけると、洋子はうなずく。

「アーサーは、手紙にもあるように蛇使いです。その蛇を使って、アーサーは神界を崩壊しようとしたことがあり、数百年前に封印された、と言われています」

カミラは、洋子の話を聞きながら自分自身を責めていた。どうしてあの時、側にいなかったのか、と。

「カミラさんが悪いわけではありません。こちらのカクテルを飲んで、落ち着いてください」

洋子は、ライムのスライスが乗った白いカクテルを出す。洋子がカクテルを出したことに、カミラは驚いた。

「このカクテルは、カミカゼと呼ばれるカクテルです。カクテル言葉は『あなたを救う』。私が、カミラさんに出したブルドッグのカクテル言葉を覚えていますか?」

カミラは、無言で洋子を見つめる。洋子は、話を続けた。

「ブルドッグのカクテル言葉は『守りたい』」
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