愛は、つらぬく主義につき。 ~2
濃紺の三つ揃いに身を包み、グレーのシャツにオレンジ色のネクタイ。派手目な色も、整った顔をより引き立たせ、髪は遊ばせ気味にスタイリングさせてあった。

口を開こうとして。イスを引いてくれた千也さんにタイミングを削がれ、大人しく高津さんの向かいに腰掛ける。

「じゃあオレは外で待ってるネ。ごゆっくり」

「千也さん」

思わず呼び止めてた。
長身が、傾げるようにあたしを振り返る。

「待ってる奥さんとお子さんがいるなら、自分を簡単に捨てちゃダメです。・・・真にはあたしから、『高津さんに頼まれただけ』だって話しますから」

相澤さんの襲撃を疑われてる高津さんの共犯扱いじゃ、立場が悪すぎる。制裁なんて受けさせたくないし、真が聞いてくれないなら哲っちゃんに頼み込んででも。なんて言ったらまた死ぬほど怒るんだろうけど。

「・・・やっぱりミヤコちゃんはイイ子だね」

ふわりと笑うと片目を瞑り、YESともNOとも言わずに彼は手をひらひら振って戻ってった。
それを見送って息を吐くと。おもむろに正面を見返す。

「他人を巻き込むのは感心できないです」

「直接会いに行って、君は俺と話す気になった?」

あたしの非難めいた眼差しも受け流し、悪びれもなく高津さんは薄く笑った。

「相澤を()らせようとした男と?」
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