愛は、つらぬく主義につき。 ~2
2-3
「遊佐クン、榊クン、久しぶりーっっ」

駅ナカで待ち合わせた紗江を、ロータリーに停めてた車まで連れてくると。歩道との境目のガードレールに腰掛けて待ってた遊佐と、その隣りに立ってる榊。駆け寄り、親友そっちのけで、3年ぶりの再会を喜ぶ彼女。

「しばらく見ないウチに、たくましい美人になったなー紗江」

「しばらく見ないうちに、どこの出張ホストになったかと思ったわー遊佐クン」

ニコニコしながら、遊佐と紗江のあいだに見えない火花が散ってるよーな??

「榊クンも元気?」

「・・・おう」

「その仏頂面も変わらなくて、懐かしいわ-」

ケラケラ笑う紗江に、榊は「うるせーよ」と素っ気なく。

「しかもスーツって! 一人だけ浮いてるしー」

そのストレートすぎる物言い、変わってないよ紗江も~。

「取りあえずどっかで昼メシでも食お。乗って、紗江」

遊佐に促され、榊も運転席に。

「あ、じゃあ紗江、一番うしろね」

あたしが言うと、さっさと乗り込んでく。

その次に遊佐が左脚を軸に、ロングステップを上がる。年末に買い換えたセレナは、お年寄りや子供が乗り込みやすい工夫がされてて、遊佐も前より楽に乗り降りができるようになってた。

二列目シートに収まった遊佐を見届けて、最後にあたしが紗江のとなりに。
静かに滑り出した車の中で、紗江は後ろから遊佐に遠慮のない一声を放つ。

「ねぇ遊佐クン。脚の具合はどうなの?」

事故を知っててそれを口に出せるのは、家族以外では紗江と榊だけだと思う。
他人が聞いたら無神経って呆れるかもしれない。でも違う。二人とも現実と向き合う覚悟を持ってくれてるからなんだって。あたしは知ってる。
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