愛は、つらぬく主義につき。 ~2
「気になる人?」

ミックスナッツの小皿を前に置いてくれたユキちゃんに視線を傾げられ、高津さんの名前を口に出した。

「・・・仁兄に聞いた。相澤さんと色々あった・・・って」

「高津晶は悪性の癌細胞と同じだよ、宮子お嬢」

男に戻ったユキちゃんが、静かに。

「今は志信っていうワクチンに抑えられてるけど、いつどこに転移して浸潤するか分からない。そうしていつか自分ごと滅びたいのかもしれないね、あの子は」

その言葉はひどく鮮烈に残った。

お姉さんを失った悲しみと絶望で。自分だけが真っ黒く染まってくのが寂しいの・・・?

不意に思った。ほんとうは相澤さんに、同じ“闇”に堕ちて欲しかったんじゃないかって。

だから蝕み続ける。

行き先や答えも求めずにただ、蝕んでく。


「・・・・・・このまま放っといたらどうなるの」

あたしが零した独り言みたいな呟きに。ユキちゃんはスッと目を細めた。


「因果応報の意味をいつか知ることになる。・・・それだけだよ」
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