愛は、つらぬく主義につき。 ~2
由里子さんの眼差しは。あたしを真っ直ぐ突き抜けて、もっと遠くを見ているような気もした。

「あの子が言ったこと気にしないでね。・・・相澤君は悪くないの。静羽(しずは)もそれは分かってる」

しずは。それが亡くなった奥さんの・・・高津さんのお姉さんの名前。そっと胸に仕舞いこむ。

「晶は、今は相澤君を憎む以外の生きる理由を探せてないだけ。見つかるまであたしはお節介を焼き続けるって決めてるの。大切な親友の弟なんだもん、見捨てたりしないわ」

ひとつひとつ自分に言って聞かせるように。由里子さんは瞑目して静かに微笑む。

あたしはなにかを言おうとして。飲み込んだ。
今の自分に出せる“答え”はなんだろう。高津さんが敵なのか味方なのかさえ不透明で。

噤んだままのあたしのココロを読み取ったように、今度はさっぱりとして言う。

「でも悪いコトは悪いって叱るのもあたしの役目でしょ。宮子ちゃんや一ツ橋の本家に迷惑かけた時はちゃんと責任取らせるわ。志信クンも承知してるから安心して」



彼女の眸に揺らぎはなかった。宿る力も強くて凜々しかった。・・・シノブさんによく似て。
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