愛は、つらぬく主義につき。 ~2
4-1
「ねぇ真」

「んー?」

土曜の昼下がり。夕方から哲っちゃんちに帰る予定だから、それまでのんびり。
クッションを枕に、フラットにしたソファに寝転がってタブレットをかまってる真の脇で。テレビから流れるバラエティ番組を眺めながら、思い出したように軽く言ってみる。

「あたしも護身術とか教えてもらったら、なんかの時に役に立たないー?」

「・・・護身術?」

「そー」

観てるついでくらい、さり気なく。あくまで世間話らしく。
真面目にお願いなんかしたら、勘ぐられて余計な心配させるだけに決まってる。

なのに。
躰をねじり気味に振り返ったあたしに向けた、あんたの怪訝そうな顔付きったら!

「なんでいきなり?」

「いきなりってゆーか、ホラ、無いよりはある方がいっかなーって」

「いらないよ、ンなの。宮子はちゃんとオレが守るから、ヘンな心配すんな」

「それはちゃんと分かってるってば。でもさ」

「・・・信じてねーの?」

小さく溜息を吐くと。
あたしの腕を引っ張って倒し、そのまま自分の中に閉じ込める。
パーカーのスェット地越しにふわりと香るエタニティ。あたしの好きな。

「オマエに頼りにならねーって思われるくらいなら死ぬよ、オレは」

・・・切ない響き。頭の天辺に、あったかい吐息が埋まる。

違うよ真。そういうんじゃないの、ただあたしは・・・っっ。押しつけてる胸元に、もっとぎゅっと顔を寄せる。
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