愛は、つらぬく主義につき。 ~2
来いって。手招きされて遊佐に躰を摺り寄せた。リクライニングで背もたれも倒してあるから、ふたりで寝転んでも狭くない。

新居の家具も電化製品もぜんぶ仁兄が揃えてくれたもの。あたしも遊佐も自分の荷物を持って引っ越しただけ。モデルルームばりにカーテンも照明もコーディネイトされてて、ほんとはあたしと住むためだったのかなぁって思うと。ちょっと申し訳なさすぎる。・・・ごめんね仁兄。

ターコイズ色の布張りソファベッドの寝心地は抜群。遊佐に髪を撫でてもらってるうちに、気持ちよくって眠たくなる。

「風呂入ろ」

優しい声と頭の天辺にキス。
しよう、の合図。

「ん・・・。お湯張ってくる」

のそのそと起き上がって行きかけたら。呼び止められて振り返る。

「クリスマス、ユキ(ねぇ)んトコでやるから空けといて」

しれっと言われた。

いつもどおり榊と4人で。今年は遊佐が忙しそうで無理かなって思ってたからすっごく嬉しい。
一人欠けても意味がない、あたし達には。

あ。そこで閃く。

「ねぇ今年は仁兄も呼ぼっか?」

「いいよ。宮子がそーしたいんなら」

「じゃあ、あたしが話しとくね」

仁兄も欠かせない一人。ただ飲んでお喋りするだけだけど。大事なのは5人で同じ時間をいっぱい共有することだから。

あたしは鼻歌混じりにバスルームへと向かった。





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