溺愛なんてされるものじゃありません
「あっ…えっと。良かったね。円満に解決して。」

…私はなんて言葉をかけて良いか悩んだ。裕香のデートの時と似た感じかな。蓮さんが素敵すぎて振られるような形になるなんて。まぁ私にとっては本当に良かったんだけど。

「やっぱり俺と二人になるのは嫌だったのか?その気は更々なかったが俺からいやらしさでも感じたのか?それとも…俺が気づいてないだけで体臭がキツイとか?」

蓮さんはどよーんとした顔のまま自分を真面目に分析している。それも的外れな分析だけど…。

「蓮さん悩殺フェロモンが出てるんだって。気にしない気にしない。」

「その悩殺フェロモンっていうのはよく分からないが、美織が俺と一緒にいるのが嫌じゃないのならそれでいい。」

蓮さんは立ち上がり、一旦自分の部屋に行きすぐにリビングへ戻ってきた。

「メリークリスマス。」

蓮さんは後ろから私にネックレスをつけてきた。見てみると、ピンクゴールドの可愛らしいハート型のネックレスが私の胸元で輝いている。

「これは?」

「クリスマスプレゼント。女性にプレゼントなんて普段しないからセンスがずれてるかもしれないけど。」

「ううん。すごく嬉しい。貰っちゃっていいの?でも…私、何もプレゼント準備してなかった。」

私はクリスマスに男の人と過ごすなんて滅多にないので、プレゼントを準備するのをすっかり忘れていた。落ち込み気味の私の後ろから蓮さんはぎゅっと抱きしめてくる。

「俺は美織自身を頂いたから、俺からのプレゼントも受け取って欲しい。」

後ろにいる蓮さんを見るとニッと笑っている。

「蓮さんありがとう。」

「あぁ、それより今日はもちろん泊まっていくよな?」

「え?」

結局私達は寝不足なまま朝を迎える事になった。

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