溺愛なんてされるものじゃありません
彼女の結論ー蓮sideー
「さて帰るか。」

手際よく仕事を終わらせて会社を出た。電車に乗り、夜ご飯に美織を誘おうかどうか悩んでいる。

一応別れようという言葉は撤回してもらったが、やっぱり家に誘うのは元彼の件が解決してからがいいのだろうか。

…でも美織に会いたい。

気がつくともう家に着いていた。美織は帰ってきてるのか…。自分の部屋に入る前に美織の部屋の方を見る。

「…こんなに近くにいるのにな。」

小さく呟いて自分の部屋に入った。何度も美織に連絡をしようと携帯を取り出したが、やっぱり我慢する事に決めた。

簡単に食事を済ませて風呂に入る。そして何気に携帯を見ると着信があった。

「美織!?」

美織からの着信と分かると急いで掛け直す。

「もしもし蓮さん?」

美織の声だ。この声を聞くだけで表情が緩んでしまう。

「悪いな、風呂に入ってた。どうした?」

「あっ…うん、蓮さんに話があって…。」

「今、家か?」

「うん。」

「じゃあ美織の部屋に行こうか?」

美織の声が聞けたのは嬉しいけど、声だけじゃなくやっぱり会いたくなった。

「私がそっちに行っていいかな?」

「分かった。鍵開けとくよ。」

そう言って電話を切ってテーブルに携帯を置く。そして玄関のドアを開けて美織が来るのを待った。

少ししてから美織の部屋の玄関のドアが開く。中からダボっとした大きめのパーカーにレギンスを履いた美織が出てきた。いつもの地味目なスエットじゃないせいか雰囲気が違う気がする。

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