溺愛なんてされるものじゃありません
主任×私×社内行事
12月29日、天気は快晴。

只今私はキャンプ場に来ている。もちろん一人じゃない。会社の社内イベントで本日はバーベキュー大会が行われていた。

何台かの貸切バスに分かれて乗り目的地へ向かう。山を登ったところにあるキャンプ場はめっちゃ寒いが空気は美味しい。会社は年末年始の休みに入ったのでこの社内イベントは自由参加なのだが、今回は参加率が高くキャンプ場は大いに盛り上がっていた。

「美織、顔に出てるよ。」

眉間にしわを寄せ、ある光景をじぃっとガン見している私に裕香がニヤッとしながら声をかけてきた。

「だって〜。」

「大人気ね。」

裕香も一緒に私の見つめ先を見る。そこには綺麗な女子社員に囲まれた蓮さんがいた。今までだったら蓮さんに近づく女性なんていなかったのになぁ。何で悩殺フェロモンなくなっちゃったんだろう。

蓮さんも蓮さんで無駄にキラキラスマイル炸裂させてるし。多分今まで女性にチヤホヤされる事がなかったから、対処法が分からないんだろうな。

今回社内イベントの参加率が高いのは、このバーベキュー企画が営業企画課主催だからだ。もちろん営業企画課主任の蓮さんは参加するし、それを知った女性社員達も参加する。更に女性社員達の参加率が高いというので男性社員達もぞろぞろと参加したというわけだ。

「美織、あっちで野菜切るよ。」

「はぁい。」

蓮さんが心配だけど、裕香と庶務課のみんながいる方へ行く。

こうなったら私は私で楽しんでやる。野菜を切るために包丁を持ち、怒り任せにダンッダンッと野菜を豪快に切り始めた。

「…美織、あんたはしばらく散歩でもしてなさい。」

野菜の切り方が悪かったのか野菜切り係をクビになり、少しの間一人でふらふらと散歩する。

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