溺愛なんてされるものじゃありません
「…ベッドに行くか。」

蓮さんの一言に小さく頷きベッドへ移動する。私は何だか緊張し過ぎて思わずベッドの上に正座してしまった。

「どうした美織。緊張してるのか?」

妖艶な視線のまま蓮さんは私の髪を撫でる。もう私の心臓は爆発寸前だ。私は無言のまま蓮さんの胸に顔を埋め腕を回した。

蓮さんはそのまま私をぎゅっと抱きしめる。そしてまた唇を重ね、気がつくと私はベッドに押し倒された格好になっていた。

「…このネックレス、いつもつけてくれているのか。」

「もちろん。だって大切なものだから。」

クリスマスプレゼントに蓮さんから貰ったネックレス…いつも肌身離さず身につけている。そのネックレスを手で触り、蓮さんは嬉しそうな表情をしていた。

「美織、俺は絶対に美織を裏切らないから…信じてろ。」

「うん。」

私はこれからもやっぱりヤキモチを妬く場面がたくさんあると思う。だって蓮さん素敵過ぎるから綺麗な女性がたくさん近寄ってくるし。でも…蓮さんの言葉をいつも信じよう。

愛を重ねながら私はそう思った。


「…ん、あれ…私また寝ちゃった?」

気がつくとふかふかの布団が私の上に被さっている。ボーっとしながら隣を見ると、至近距離に蓮さんの顔がありビックリして思いっきり目が覚めた。

「ふふ、蓮さん疲れてたのかな。」

今日は社内イベントもあったし疲れたのだろう。私の隣で相変わらず整った顔して寝ている。しばらく寝顔を堪能して幸せを噛み締めた。

「…悪い。俺、寝てたか?」

30分くらい経った頃、蓮さんは目を覚ましボーっとしながら私の顔を見る。

「うん。疲れた?」

「いや、美織が隣にいるから疲れも吹き飛んで心地良過ぎたから気が緩んだのかもな。」

そう言って蓮さんは腕枕をしている手で私の頭を撫でる。その蓮さんの手に私は自分の手を絡ませ、ぎゅっと握りしめた。

「蓮さん。」

「ん?」

「私、蓮さんの事…大好き。」

私は笑顔を見せる。すると蓮さんは私をぎゅっと抱きしめてきた。

「俺も好きだよ。」

そう囁いて唇を重ねる。こうして私達の長い夜はまだまだ続くのだった。

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