ボクソラ☆クロニクル


「はぁ!? 知らない奴を僕のアリスに連れ込んだのかよ!」

 キョトンと目を丸くして私を見るレオンさんに抗議の声を上げたのは、天然パーマに煤けた白衣姿の男の子だった。

 太もものベルトについた金具にスパナなどの工具が取り付けられている。
『僕のアリス』と言うのは多分、彼らの船【ホワイト・アリス号】のことを指すのだろう。ということは彼はこの船の整備士なのかもしれない。

「勘弁してよ船長ぉ」

 白衣の男の子に、その隣にいた背の低い少年も頬をふくらませて同意を示す。背の低い少年にギロっと大きな目で睨まれて、私はたまらず体を跳ねさせながら勢いよく頭を下げた。

「え、えっと! わた、ボク! ニーナって言います。さっき酒場で人を探していたところヴォーパル・ソードの1人に斬られそうになって……そこをレオンさんに助けてもらいました!」
「あのまま酒場に放置していてもこのチビ助、殺されちまいそうだろ? そうなると目覚めが悪いから連れてきた」
「連れてきたって……」

 レオンさんの言葉に背の低い男の子が嫌そうな顔をする。

 突然知らない人間が自分たちの船に乗ってるんだから当たり前だけど、私はあんまり歓迎されてないみたいだ。
 
「レオンの話は分かりましたが、ニーナくん。君はあの酒場で人を探していたのでしょう? レオンに連れてこられてしまっては、目的が果たせませんよね」

 声をかけてくれたのは、眼鏡をかけた背の高い男性だった。

< 10 / 43 >

この作品をシェア

pagetop