ボクソラ☆クロニクル



「なに、サミュ姉は気付いてたの?」
「当たり前じゃない。あんな可憐な子が男の子のはずがないでしょ?」
「……ふーん。ま、何でもいいけど」
「サミュエルもサミュエルだけど、ルドルフもその話を何でもいいで片付けるなよ」
「だってなんでもいいし。人間、興味ないもん」

 レオンからの指摘に対してさも当然のように。白衣の少年、整備士のルドルフは応えると、重たい溜息を吐き出した。

「男でも女でも、僕のホワイト・アリスに船員でもない人間が土足で踏み込んでくるのは面白くないよ」
「相変わらずのギークねぇ、うちの整備士は」
「お褒めの言葉ドーモ」
「残念ながら褒めてないわヨ」

 そう言ってサミュエルはこれみよがしに肩を竦めてみせた。


「性別はさておき、あのチビさんは何者なんだ?」

 カルロスの言葉に船長室はシンと静まり返った。

「正規のルートで王都に向かうことが出来ないから空賊船をアテにしたと言っていましたね」
「どういうことなのかしら? ワタシたちみたいな空賊は確かに正規の手続きを踏んだ航路は使えないけれど。あの子が?」

 ということは彼女も空賊、もしくはそれに準ずるお尋ね者なのだろうか?
 しかし実際の空賊船を前にビビり散らかしていたニーナを見る限り、とてもそんな風には思えない。

「あれはどうみたって素人の反応ですよね」
「レオン的にはどうなのよ。アナタが1番、あの子のこと見てるでしょ?」
「んあ? あー……」

 サミュエルに声を掛けられてレオンは宙に視線を向ける。

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