ボクソラ☆クロニクル
歓声の渦の中でふんぞり返るその人を呆れ半分に見上げていると、不意に彼と目が合った。
「!」
「おっと。悪いな! もしかして俺のせいでフッとばしちまったか?」
そう言って彼はつかつかとこちらに歩み寄ってきた。
「悪かったな、チビ助! お詫びにこっち来て一緒に飲めよ」
「ひゃっ!」
突然肩を抱かれ、情けない声が漏れてしまう。
ち、近い……!
「あ、あの! わた……じゃない、俺もう帰るつもりだったんで!」
「そんなこと言うなよ。夜はまだまだこれからなんだぜ? 一緒に朝まで楽しもうや」
そういうの良いから、もう帰らせて……!
「自己紹介がまだだったなチビ助、俺はレオン。空賊ジャバウォックの船長だ」
空賊……!
そっか、この酒場にいるんだもん。この人だって空賊なんだ。しかも船長……。
なんだかこの人は私がイメージしていた荒くれ者の空賊とはちょっと違っている気がする。笑い方がすごく人懐こい。
「おい、レオン。こんなところに嫌がった。手間かけさせてんじゃねぇよ」
その時彼の後方から男性が息を切らして駆け寄ってきた。
「チビ助、コイツはうちの副船長のカルロスだ。俺の優秀な右腕様だ。イカした男だろ?」
「ど、どうも……」
「暢気に話してる場合じゃねぇ。急いで出航するぞ。奴らがこの街に来てる!」
「奴らってまさか……!」
レオンさんが表情を変えたと同時に、彼の背後からけたたましい爆音が轟いた。