ボクソラ☆クロニクル
「がんばれーニーナ!」
「いいぞいいぞ」
ギャラリーからは声が上がるけれど圧倒的な実力差を前にして諦めない姿勢を評価されているだけに過ぎない。
もちろん私だってこの船で戦闘員の肩書きがついているピノくん相手に何が出来るなんて思ってないけど。
「……ッ!」
1度取ったはずの間合いを一気に詰める。
先程までと同じ要領でピノくんがこちらの攻撃を交わそうとしたその瞬間、私は剣の柄から手を離した。
「え」
突然のことピノくんが素っ頓狂な声を上げたその瞬間、彼の胸ぐらに手をかける。
「おおっ!」
ギャラリーからも声が上がる。
道具がなくても使用することが出来る体術だって一通り学んでいるのだ。これなら……!
「……え?」
そう思った瞬間に視界が揺れて、ヒュンと風を切る音がした。次の瞬間背中に入った衝撃をうけて、ようやく自分が投げ飛ばされたことを理解した。
「……あっ、やりすぎた」
「い、てて……」
ピノくんの声が聞こえたのと、頭上から壁際に立てかけられていた長箒が傾いてきたのはほとんど同時のことだっただろう。
スコーン!
と、子気味いい音を立てて脳天に箒の柄が直撃したのを決め手に、私の意識はみるみるうちにブラックアウトしていってしまった。