かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
「副社長は荻原さんのことを、実の妹のように可愛がられております故、秘書課への配属が決まった際、真っ先に私に自分の第二秘書につけるようにとおっしゃられていたので、つい弟さんに頼まれたと言ったのかと……」

「えっ?」

 ジッと見つめると、誠司君は大きく咳払いをした。

「山浦さん、それは言わない約束でしたよね?」

「弟さんから言われていたのもたしかですが、副社長のことも伝えなければご説明できないかと判断しまして」

 山浦さんに丁寧に言われ、誠司君は私の肩から手を退けて深く息を吐いた。そして照れくさそうに私を見る。

「そういうこと。最終的に山浦さんが小毬の履歴書を見て、俺の第二秘書にって決めたけど、頼み込んだのは事実だからな。つい将生のせいにしてしまった。でも小毬に秘書についてほしかったのは、ただ単にそばに置きたかったからじゃない、小毬の実力を知っていたからだよ」

「誠司君……」

 じゃあ将生に言われたから、私が秘書課に配属されたわけじゃないんだね。

「英語はもちろん、中国語に韓国語、フランス語を話せる秘書はいないからな。さすがに俺もそこまで語学が堪能ではない」

「そんな」

 結婚したら自由になれると勝手に決めつけていた私は、高校生の時から勉学に励んでいた。
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