かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
 将生と結婚することが決まっていた私には、社会人になって働くことがなによりの夢だった。
その夢が今、叶ったんだ。自分のためにもこうして力になってくれる人のためにも、ここで頑張っていきたい。

「はい」

 その思いで返事をすると、私たちのやり取りを静観していた誠司君が声を上げた。

「そうそう、なにかあったら隠さずにすぐに言って。……でないと、俺が将生に怒られちゃうから」

「えっ?」

 誠司君はクスリと笑いながら教えてくれた。

「心配なんだよ、小毬のことが。……幼稚園からずっとそばにいたのに、これからは会社でなにかあっても、将生は小毬を助けることができないだろ?」

 思いがけない話に目を瞬かせてしまう。だって誠司君の話だと、まるでこれまでは、将生がそばでずっと私を守ってきたみたいじゃない?

 ふと、告白された日のことを思い出す。

 そういえばこれまでたくさんの人と付き合ってきたのは、私を守るためだって言っていたよね?

 もしかして私が知らなかっただけで、将生は私のことをいろいろなことから守ってくれていたのだろうか。

 そう思うと胸の奥がギュッと痛くなり、なんともいえない感情に支配される。
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