かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
「アハハッ! ケーキは好きだけど、さすがに十五個は食べられないよ。……だから将生も一緒に食べてね」

 笑いながらお願いするものの、将生は私をジッと見つめたままなにも言わない。

 せっかく買ってきてくれたのに笑っちゃったから、怒らせてしまったのだろうか?

 心が落ち着かなくなると、将生はなぜか急に立ち上がった。

「どうしたの?」

 聞いても答えることなく彼はリビングから出ていってしまった。

 や、やっぱり怒らせちゃったようだ。

「どうしよう……」

 思わず私も立ち上がってしまう。

 と、とにかく謝るべきだよね。将生だって仕事で疲れているのにわざわざ買ってきてくれて、さらにはご飯まで作ってくれたんだから。

 リビングから廊下に出ると、書斎から将生が出てきた。

「あっ……」

 声を漏らすと私に気づき、将生は目を丸くさせた。

「どうしたんだ?」

「どうしたんだって……え、将生怒っていないの?」

「なんで俺が怒るんだよ」

 呆れた様子で言われ、拍子抜けする。

 じゃあなぜ急に席を立ったのだろうか。もしかして仕事の電話とか?

 そんなことを考えていると、将生は照れくさそうに手にしていた紙袋を私に差し出した。

「これは?」

 将生と紙袋を交互に見てしまう。すると彼はボソッと言った。

「……就職祝い」

 就職祝いって……嘘、本当に?

 さっきの料理とケーキだけでもう十分なのに、プレゼントまで買ってくれたの?
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