かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
 もちろんその答えはすぐに出ない。だからこそもっと将生のことを知りたいと思うし、一緒に過ごす時間を大切にしたい。

 彼の寝顔を見つめながらそんなことを考えていると、スマホのアラームが鳴った。

「んっ……」

 急いで止めたものの、将生を起こしてしまったようだ。だけどまだ寝ぼけているのか、焦点が定まらずボーッとしている。

「おはよう、将生」

「……おはよう」

 挨拶を返すと、再び将生はギューッと私を抱きしめた。するとやっと目が覚めたのか、小さく息を漏らした。

「あー……悪い、今日も早く起きられなかった」

「ううん、大丈夫だよ。今日は私に作らせて。今、仕事忙しいの? 最近ぐっすりだよね」

 抱きしめられたまま聞くと、将生はため息交じりに呟いた。

「いや、仕事は忙しくない。ずっとソファで寝ていたから、ベッドだとぐっすり寝ちゃって……」

「えっ、ソファ?」

 どういうことか気になり、思わず起き上がってしまう。すると将生はハッとし、「しまった」と言うように顔を引きつらせた。

「いや、その……」

 言葉を詰まらせると、彼はうつ伏せになって枕に顔を埋めた。
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