Serious Finght ー本気の戦いー
夜、玲央は星ノ丘公園に立寄った。
【玲】「!あっ……。」
そこには、莉緒がいた。
莉緒は玲央に気づいたのか玲央の方ヘ歩み寄る。
【莉】「菅谷玲央じゃん。」
【玲】「浦田、お前ここ好きなの?」
玲央はそう言いながら草むらに座る。
【莉】「昨日来たばっかだけど、好きだよ。近所にこんな良い所あるなんて知らなかった。」
そう言うと、玲央の隣に座った。
【玲】「ここから眺める星、綺麗だよな。」
【莉】「うん……。」
ふたりは同時に空を見上げる。
この空間が何だか懐かしいような気がするとふたりは思っていた。
【玲】「なんだろうな、お前とこうやって一緒に居るの懐かしい感じする。」
【莉】「私も思った。不思議だな……。」
ふたりにとってこの時間は特別な物となった。昔の事を思い出せない今、ふたりの中で何かが動き始めたような気がした。
この瞬間からふたりの歯車は動き始めようとしている。
実樹は自分のベッドにダイブし、枕に顔を埋めた。
【実】「ほんと……、弱いな……。」
実樹は声を必死に抑えながら泣いた。
弱いくせに強く居ようなんか思って馬鹿みたいだ……。どれだけの人に助けられたか分かんないよ……。
ひとりで戦えるようになりたい……。弱い自分はもう沢山だ……。
少しでいい、玲央、莉緒ちゃん、助けて……。弱い自分を変えてほしいよ……。
と実樹は心の中で思った。
そして泣きながら意識を手放した。
ー赤チームー
朝。莉緒は不思議な夢を見た。
莉緒と玲央、そして実樹が星ノ丘公園で星を眺めている光景が映し出されていた。
その光景が不思議でたまらない。莉緒はそう思った。
玲央が居るのは分かる気がするけど、実樹の存在が謎だった。
まぁ、玲央も謎っちゃ謎だけど。
すると突然教室のドアが開いた。
【琴】「ちょっ、莉緒!!」
遅刻した琴が莉緒に迫る。
【莉】「何。」
【琴】「昨日の夜、一緒にいた男誰よぉ!!まさか、彼氏なんて言わないでしょうね!」
琴の言葉に反応した莉緒以外の4人は、「莉緒に、彼氏!?」と驚いた。
【莉】「いや、彼氏じゃないし。偶々会った菅谷だよ。」
莉緒は冷たい声でそう言った。4人はホッとした様子で自分のスマホに目を向けた。
【琴】「あ、菅谷くんか。まぁ、莉緒に彼氏出来たら全米、いや世界が祝福するよね。」
と琴は笑いながら言った。
【莉】「は?馬鹿にしてんの?」
【琴】「すいません……。」
琴は莉緒の目線が痛すぎ体が縮んだ。
ー青チームー
本部基地には実樹以外の5人が集まって居る。
【夜】「ねぇ、イチゴミルク大量に買って喜ばそうって言ってるけどさ、」
【聖】「本人まだ来てねぇーぞ。」
聖也は大量のイチゴミルクが積み重なって出来た壁によし掛かる。
【美】「あいつ、遅くない?」
【玲】「どこで道草くってんだよ。」
玲央は自分のスマホを取り出し、実樹に連絡を入れた。
【渚】「冷蔵庫に入れよっか。」
【夜】「そうだね。」
皆は冷蔵庫に大量のイチゴミルクを詰め込んだ。
しかし……、
【夜】「無理、入らん。」
冷蔵庫はそこまで大きくないので3分の1のイチゴミルクしか入らなかった。
【美】「このイチゴミルク何本買ったんだよ。」
【夜】「100本」
夜月はさらっと答えた。
【玲】「その金は……。」
流石に100本も買うとしたら結構な値段がするはずだ。
バイトもしていない美咲達が買えるような値段ではないと玲央は思った。
【夜】「あぁ、渚を盾にして坂野流華を脅した。」
渚以外の4人は、「何という作戦……、」と言い、ふたりを引いた目で見た。
【夜】「あの子、お金持ちだし丁度良いかなと思って。」
【聖】「まぁ、イケメン好きだしな。」
聖也は納得した。
【夜】「渚連れてったらイチコロだったわ。」
【渚】「怖かったよ……。坂野さんに何されるか分かんないし……。」
渚は暗い表情をした。
【夜】「手ぇ出されてたら私が殴ってたから大丈夫。」
夜月はそう言うと渚の頭を撫でた。渚は夜月の方を向き笑顔を見せる。
【美】「あいつ遅すぎ……。」
美咲はそう言いながら窓の外を眺めた。
昼、ようやく実樹が来た。
【実】「おはよー。」
やはりいつもよりテンションが低い。
皆は実樹を元気付けるため、冷蔵庫ヘ誘導しようとした。
【夜】「実樹ー、イチゴミルクあるよー。」
【実】「今日は、いいや。」
実樹はそう答え、ソファーに座った。
皆は驚きの表情を隠せずにいる。
【玲】(えっ!?どうしたよ、こいつ!)
【美】(はっ?何なの?)
【夜】(今日に限って!?)
【聖】(今日中に飲まないといけないやつあんのに!?)
【渚】(お腹壊しちゃうよ!)
それぞれ思っている事は同じだ。……そうだと願いたい……。
実樹がイチゴミルクを拒否るなんて珍しい。5人は驚き過ぎて理由を聞けずにいた。
ザクッ!壁に何かが刺さる音がした。聖也が外に出て行くとナイフと1枚の紙を持って戻ってきた。
【聖】「こいつら、昨日来た不良の1個上の奴らだ。今日の22時廃工場で待つだと。」
聖也はナイフに刺さっていた紙を机の上に置いた。
【美】「はぁ、行くか。皆夜集合な。」
美咲はそう言い本部基地から出ていった。
夜。廃工場の前にいつもの6人が並んでいた。
実樹は昼間と変わらすテンションが低い。このテンションじゃまた皆に迷惑がかかるんじゃないかと夜月は不安になった。
【美】「行くぞ。」
美咲の言葉に皆は反応し、聖也と玲央は壁を蹴り、壁をぶち破った。
【不良】「!?」
衝撃音が強すぎて不良達は美咲たちの方を見た。
【美】「お待たせ。」
【不良】「よくビビらずここまで来たな。褒めてやる。」
不良達はニヤニヤしながら美咲達の方に近づく。
【玲】「は?俺たちの事甘く見すぎ」
【不良】「そっちこそ、俺たちの事甘く見てんじゃねぇーの?」
不良達は鉄パイプを持っている。それをくるくる回したり地面に打ちつけたりしている。
美咲達は素手、相手は武器を使ってケンカをしなければならない。
玲央は今あまり動く事が出来ない状態だ。ここは実樹が動いてくれなきゃ、チャンスはない。玲央を無理に動かす事は危険過ぎる。
と夜月は思った。
【美】「このケンカ、私達が勝つ!
ケンカ、しようぜ?」
皆は一斉に飛び出した。
ケンカが終わった。勝ったのは美咲達だ。
しかし、素手と鉄パイプじゃ桁が違う。皆はフラフラになりながらも精一杯戦った。
【渚】「はぁ……はぁ……以外と強かったね……。」
渚以外のメンバーも息が上がっている。相当体にきたみたいだ。
【玲】「だなッ……はぁ……」
玲央は勢いよく地面に倒れた。気絶とかで倒れたわけではなく、自分の意志で倒れた。
すると急に美咲が立ち上がった。そして突っ立っていた実樹の元へ歩き出す。
バチーンッ
頬を叩く音が廃工場中に響き渡る。
【実】「!?」
【美】「何やってんの。」
美咲は実樹の全ての行動が頭にきたみたいだ。
【夜】「美咲ッ!」
【美】「夜月、止めないでくれ。もう限界だ……。」
美咲は実樹の目を見た。
しかし実樹は目を逸らすばかりで美咲の方を見ようともしない。
【美】「あんた、何してんの?ずっと突っ立ってばかりで、敵が来ても夜月や玲央に助けてもらってばっかりじゃん‼なんの為にここに居るの。なんの為にあんたは不良になったんだよ!!……何があったか知らないけど、本気で戦わない奴は私は必要ないと思ってる。本気じゃない奴は……いらないんだよ……。」
美咲は唇を噛み締め下を向いた。
仲間に対して言う発言ではなかった。でも、それほど美咲は実樹の事を信用していたんだ。それだけ、実樹の存在が美咲に大きな力を与えてくれる存在だったと初めて気づいた。
【実】「ごめッ……。」
実樹は泣きながら何処かへ行ってしまった。
【玲】「おい!実樹!!」
玲央が実樹を呼び止めたが実樹は振り向かず走って行く。
【夜】「玲央、行ってあげて。玲央じゃなきゃ実樹は救えないよ……。」
夜月は震える声でそう言った。
玲央はフラつきながらも実樹を追う。夜月の言葉が玲央の背中を押してくれた。
【夜】「美咲。」
夜月は美咲の傍に寄り添った。
美咲は腕で目元を覆い、その場にしゃがみ込んだ。
【美】「私だって、こんなこと言いたくなかった……。もう、仲間を失いたくない……。」
【夜】「分かってる、分かってるよ……。」
美咲の言葉の意味を夜月はまだ知らないでいた。
【美】「ごめん……実樹……。」
言葉はナイフだ。知らないうちに傷つける事だってある。すれ違うときだって……。
それがいい方向に行くのか悪い方向に行くのか……。
神様に任せるしかないのだ。
実樹は星ノ丘公園を目指し走った。涙は風で飛ばされている。
すると女子の3人が実樹の姿を見かけた。
【莉】「花蝶?……!?」
突然莉緒が走り出した。
【琴】「ちょっ、莉緒!?」
【彩】「やめよう、琴。」
彩は琴の手を引っ張った。
莉緒を今止めることは出来ないと悟った。
星ノ丘公園につくと丘の方で実樹が泣いていた。
実樹を見つけた莉緒は公園の中へ入ろうとしたが、菅谷とばったり会ってしまった。
その瞬間、昔の記憶が全て思い出した。あのとき一緒に泣いたこと、笑いあった日の事、誕生日に3人でケーキを食べた事。そして、3人でこの星を見た事も。
【莉】「玲央……。」
【玲】「莉緒……。」
ふたりは目を合わせ頷いた。そして実樹の元へ歩み寄った。
【実】「ウッ……、」
【玲】「お前って、泣きたい時いつものようにここに来るよな。」
【莉】「ほんと、昔から変わらないなぁ、実樹は。」
実樹は後ろを振り返った。そこには懐かしいふたりが並んでいる。
【実】「玲央、莉緒ちゃんッ……!もしかして……、」
ふたりは揃って、「思い出したよ。」と答えた。
【莉】「今まで忘れられてた記憶も、」
【玲】「全部な。」
実樹は声をあげて泣いた。
【実】「うわァァァん!……ごめッ…ごめんなさい……。」
ふたりは驚いた。実樹が謝るなんて思っていなかったのだ。
【実】「実樹、ずっと隠してた……!ふたりが双子だって事ッ……。ほんとはね、言おうと思ってたの……。でもッ……グスッ……怖くてッ……。」
【玲】「何が怖かったんだ?」
【実】「実樹、ふたりが交通事故にあったときッ……本当は近くにいたんだ……。助けなきゃって思った……。グスッ……。でも、死ぬのが怖くて……、助けてあげられなかったッ……。グスッ…大切な友達なのにッ……自分の命を優先してしまった。……そんな事言ったらふたりに嫌われてしまうんじゃないかって思ってッ……言えなかったの……。」そう言って実樹はまた下を向く。
【莉】「嫌うわけないじゃん。」
【玲】「あぁ、嫌うわけない。」
莉緒は実樹の頭を撫でた。
【実】「実樹さ、いつもふたりに助けてもらってばっかりだった。そんな自分が嫌で、弱い自分が嫌で……!だから強くなりたいって思うようになった。……でも、やっぱり弱いよ……。ふたりみたいにはなれない。実樹はずっと誰かに守られてばっかりだぁ……。もっと強くなりたい……。今度は実樹が誰かを守ってあげたいッ……!」
実樹は涙を拭った。そして顔をあげた。
【玲】「大丈夫だよ、お前が弱いだなんて誰が言った?誰もそんな事思ってねぇーよ。」
【莉】「実樹は実樹なりに強くなってけばいいんだよ。無理に強くなろうとしなくていいんだ。」
ふたりは顔を見合わせ、「弱くなんかないよ、実樹は強い!」と言い実樹の背中を押した。
誰かを守りたい。その想いがあるだけで人は強くなれる。
想いが人を動かしているんだ。
【莉】「何時ぶりだろうな。3人でこうして星を眺めるの。」
【玲】「ほんとだな。」
3人は星を眺めながら昔の事を話していた。
【実】「ねぇ、ふたりとも、」
実樹はふたりの事を呼んだ。
ふたりは「ん?」と言い実樹の方をみる。
【実】「大好きだよ!!」
実樹はそう言ってふたりの肩を抱き寄せた。
3人はまた昔みたいに笑える日が来たんだなと思いながら、星を眺め続けた。
実樹はまた、お星さまにお願い事をした。
「ずーーーっと、3人で居られますように」
Fin
【玲】「!あっ……。」
そこには、莉緒がいた。
莉緒は玲央に気づいたのか玲央の方ヘ歩み寄る。
【莉】「菅谷玲央じゃん。」
【玲】「浦田、お前ここ好きなの?」
玲央はそう言いながら草むらに座る。
【莉】「昨日来たばっかだけど、好きだよ。近所にこんな良い所あるなんて知らなかった。」
そう言うと、玲央の隣に座った。
【玲】「ここから眺める星、綺麗だよな。」
【莉】「うん……。」
ふたりは同時に空を見上げる。
この空間が何だか懐かしいような気がするとふたりは思っていた。
【玲】「なんだろうな、お前とこうやって一緒に居るの懐かしい感じする。」
【莉】「私も思った。不思議だな……。」
ふたりにとってこの時間は特別な物となった。昔の事を思い出せない今、ふたりの中で何かが動き始めたような気がした。
この瞬間からふたりの歯車は動き始めようとしている。
実樹は自分のベッドにダイブし、枕に顔を埋めた。
【実】「ほんと……、弱いな……。」
実樹は声を必死に抑えながら泣いた。
弱いくせに強く居ようなんか思って馬鹿みたいだ……。どれだけの人に助けられたか分かんないよ……。
ひとりで戦えるようになりたい……。弱い自分はもう沢山だ……。
少しでいい、玲央、莉緒ちゃん、助けて……。弱い自分を変えてほしいよ……。
と実樹は心の中で思った。
そして泣きながら意識を手放した。
ー赤チームー
朝。莉緒は不思議な夢を見た。
莉緒と玲央、そして実樹が星ノ丘公園で星を眺めている光景が映し出されていた。
その光景が不思議でたまらない。莉緒はそう思った。
玲央が居るのは分かる気がするけど、実樹の存在が謎だった。
まぁ、玲央も謎っちゃ謎だけど。
すると突然教室のドアが開いた。
【琴】「ちょっ、莉緒!!」
遅刻した琴が莉緒に迫る。
【莉】「何。」
【琴】「昨日の夜、一緒にいた男誰よぉ!!まさか、彼氏なんて言わないでしょうね!」
琴の言葉に反応した莉緒以外の4人は、「莉緒に、彼氏!?」と驚いた。
【莉】「いや、彼氏じゃないし。偶々会った菅谷だよ。」
莉緒は冷たい声でそう言った。4人はホッとした様子で自分のスマホに目を向けた。
【琴】「あ、菅谷くんか。まぁ、莉緒に彼氏出来たら全米、いや世界が祝福するよね。」
と琴は笑いながら言った。
【莉】「は?馬鹿にしてんの?」
【琴】「すいません……。」
琴は莉緒の目線が痛すぎ体が縮んだ。
ー青チームー
本部基地には実樹以外の5人が集まって居る。
【夜】「ねぇ、イチゴミルク大量に買って喜ばそうって言ってるけどさ、」
【聖】「本人まだ来てねぇーぞ。」
聖也は大量のイチゴミルクが積み重なって出来た壁によし掛かる。
【美】「あいつ、遅くない?」
【玲】「どこで道草くってんだよ。」
玲央は自分のスマホを取り出し、実樹に連絡を入れた。
【渚】「冷蔵庫に入れよっか。」
【夜】「そうだね。」
皆は冷蔵庫に大量のイチゴミルクを詰め込んだ。
しかし……、
【夜】「無理、入らん。」
冷蔵庫はそこまで大きくないので3分の1のイチゴミルクしか入らなかった。
【美】「このイチゴミルク何本買ったんだよ。」
【夜】「100本」
夜月はさらっと答えた。
【玲】「その金は……。」
流石に100本も買うとしたら結構な値段がするはずだ。
バイトもしていない美咲達が買えるような値段ではないと玲央は思った。
【夜】「あぁ、渚を盾にして坂野流華を脅した。」
渚以外の4人は、「何という作戦……、」と言い、ふたりを引いた目で見た。
【夜】「あの子、お金持ちだし丁度良いかなと思って。」
【聖】「まぁ、イケメン好きだしな。」
聖也は納得した。
【夜】「渚連れてったらイチコロだったわ。」
【渚】「怖かったよ……。坂野さんに何されるか分かんないし……。」
渚は暗い表情をした。
【夜】「手ぇ出されてたら私が殴ってたから大丈夫。」
夜月はそう言うと渚の頭を撫でた。渚は夜月の方を向き笑顔を見せる。
【美】「あいつ遅すぎ……。」
美咲はそう言いながら窓の外を眺めた。
昼、ようやく実樹が来た。
【実】「おはよー。」
やはりいつもよりテンションが低い。
皆は実樹を元気付けるため、冷蔵庫ヘ誘導しようとした。
【夜】「実樹ー、イチゴミルクあるよー。」
【実】「今日は、いいや。」
実樹はそう答え、ソファーに座った。
皆は驚きの表情を隠せずにいる。
【玲】(えっ!?どうしたよ、こいつ!)
【美】(はっ?何なの?)
【夜】(今日に限って!?)
【聖】(今日中に飲まないといけないやつあんのに!?)
【渚】(お腹壊しちゃうよ!)
それぞれ思っている事は同じだ。……そうだと願いたい……。
実樹がイチゴミルクを拒否るなんて珍しい。5人は驚き過ぎて理由を聞けずにいた。
ザクッ!壁に何かが刺さる音がした。聖也が外に出て行くとナイフと1枚の紙を持って戻ってきた。
【聖】「こいつら、昨日来た不良の1個上の奴らだ。今日の22時廃工場で待つだと。」
聖也はナイフに刺さっていた紙を机の上に置いた。
【美】「はぁ、行くか。皆夜集合な。」
美咲はそう言い本部基地から出ていった。
夜。廃工場の前にいつもの6人が並んでいた。
実樹は昼間と変わらすテンションが低い。このテンションじゃまた皆に迷惑がかかるんじゃないかと夜月は不安になった。
【美】「行くぞ。」
美咲の言葉に皆は反応し、聖也と玲央は壁を蹴り、壁をぶち破った。
【不良】「!?」
衝撃音が強すぎて不良達は美咲たちの方を見た。
【美】「お待たせ。」
【不良】「よくビビらずここまで来たな。褒めてやる。」
不良達はニヤニヤしながら美咲達の方に近づく。
【玲】「は?俺たちの事甘く見すぎ」
【不良】「そっちこそ、俺たちの事甘く見てんじゃねぇーの?」
不良達は鉄パイプを持っている。それをくるくる回したり地面に打ちつけたりしている。
美咲達は素手、相手は武器を使ってケンカをしなければならない。
玲央は今あまり動く事が出来ない状態だ。ここは実樹が動いてくれなきゃ、チャンスはない。玲央を無理に動かす事は危険過ぎる。
と夜月は思った。
【美】「このケンカ、私達が勝つ!
ケンカ、しようぜ?」
皆は一斉に飛び出した。
ケンカが終わった。勝ったのは美咲達だ。
しかし、素手と鉄パイプじゃ桁が違う。皆はフラフラになりながらも精一杯戦った。
【渚】「はぁ……はぁ……以外と強かったね……。」
渚以外のメンバーも息が上がっている。相当体にきたみたいだ。
【玲】「だなッ……はぁ……」
玲央は勢いよく地面に倒れた。気絶とかで倒れたわけではなく、自分の意志で倒れた。
すると急に美咲が立ち上がった。そして突っ立っていた実樹の元へ歩き出す。
バチーンッ
頬を叩く音が廃工場中に響き渡る。
【実】「!?」
【美】「何やってんの。」
美咲は実樹の全ての行動が頭にきたみたいだ。
【夜】「美咲ッ!」
【美】「夜月、止めないでくれ。もう限界だ……。」
美咲は実樹の目を見た。
しかし実樹は目を逸らすばかりで美咲の方を見ようともしない。
【美】「あんた、何してんの?ずっと突っ立ってばかりで、敵が来ても夜月や玲央に助けてもらってばっかりじゃん‼なんの為にここに居るの。なんの為にあんたは不良になったんだよ!!……何があったか知らないけど、本気で戦わない奴は私は必要ないと思ってる。本気じゃない奴は……いらないんだよ……。」
美咲は唇を噛み締め下を向いた。
仲間に対して言う発言ではなかった。でも、それほど美咲は実樹の事を信用していたんだ。それだけ、実樹の存在が美咲に大きな力を与えてくれる存在だったと初めて気づいた。
【実】「ごめッ……。」
実樹は泣きながら何処かへ行ってしまった。
【玲】「おい!実樹!!」
玲央が実樹を呼び止めたが実樹は振り向かず走って行く。
【夜】「玲央、行ってあげて。玲央じゃなきゃ実樹は救えないよ……。」
夜月は震える声でそう言った。
玲央はフラつきながらも実樹を追う。夜月の言葉が玲央の背中を押してくれた。
【夜】「美咲。」
夜月は美咲の傍に寄り添った。
美咲は腕で目元を覆い、その場にしゃがみ込んだ。
【美】「私だって、こんなこと言いたくなかった……。もう、仲間を失いたくない……。」
【夜】「分かってる、分かってるよ……。」
美咲の言葉の意味を夜月はまだ知らないでいた。
【美】「ごめん……実樹……。」
言葉はナイフだ。知らないうちに傷つける事だってある。すれ違うときだって……。
それがいい方向に行くのか悪い方向に行くのか……。
神様に任せるしかないのだ。
実樹は星ノ丘公園を目指し走った。涙は風で飛ばされている。
すると女子の3人が実樹の姿を見かけた。
【莉】「花蝶?……!?」
突然莉緒が走り出した。
【琴】「ちょっ、莉緒!?」
【彩】「やめよう、琴。」
彩は琴の手を引っ張った。
莉緒を今止めることは出来ないと悟った。
星ノ丘公園につくと丘の方で実樹が泣いていた。
実樹を見つけた莉緒は公園の中へ入ろうとしたが、菅谷とばったり会ってしまった。
その瞬間、昔の記憶が全て思い出した。あのとき一緒に泣いたこと、笑いあった日の事、誕生日に3人でケーキを食べた事。そして、3人でこの星を見た事も。
【莉】「玲央……。」
【玲】「莉緒……。」
ふたりは目を合わせ頷いた。そして実樹の元へ歩み寄った。
【実】「ウッ……、」
【玲】「お前って、泣きたい時いつものようにここに来るよな。」
【莉】「ほんと、昔から変わらないなぁ、実樹は。」
実樹は後ろを振り返った。そこには懐かしいふたりが並んでいる。
【実】「玲央、莉緒ちゃんッ……!もしかして……、」
ふたりは揃って、「思い出したよ。」と答えた。
【莉】「今まで忘れられてた記憶も、」
【玲】「全部な。」
実樹は声をあげて泣いた。
【実】「うわァァァん!……ごめッ…ごめんなさい……。」
ふたりは驚いた。実樹が謝るなんて思っていなかったのだ。
【実】「実樹、ずっと隠してた……!ふたりが双子だって事ッ……。ほんとはね、言おうと思ってたの……。でもッ……グスッ……怖くてッ……。」
【玲】「何が怖かったんだ?」
【実】「実樹、ふたりが交通事故にあったときッ……本当は近くにいたんだ……。助けなきゃって思った……。グスッ……。でも、死ぬのが怖くて……、助けてあげられなかったッ……。グスッ…大切な友達なのにッ……自分の命を優先してしまった。……そんな事言ったらふたりに嫌われてしまうんじゃないかって思ってッ……言えなかったの……。」そう言って実樹はまた下を向く。
【莉】「嫌うわけないじゃん。」
【玲】「あぁ、嫌うわけない。」
莉緒は実樹の頭を撫でた。
【実】「実樹さ、いつもふたりに助けてもらってばっかりだった。そんな自分が嫌で、弱い自分が嫌で……!だから強くなりたいって思うようになった。……でも、やっぱり弱いよ……。ふたりみたいにはなれない。実樹はずっと誰かに守られてばっかりだぁ……。もっと強くなりたい……。今度は実樹が誰かを守ってあげたいッ……!」
実樹は涙を拭った。そして顔をあげた。
【玲】「大丈夫だよ、お前が弱いだなんて誰が言った?誰もそんな事思ってねぇーよ。」
【莉】「実樹は実樹なりに強くなってけばいいんだよ。無理に強くなろうとしなくていいんだ。」
ふたりは顔を見合わせ、「弱くなんかないよ、実樹は強い!」と言い実樹の背中を押した。
誰かを守りたい。その想いがあるだけで人は強くなれる。
想いが人を動かしているんだ。
【莉】「何時ぶりだろうな。3人でこうして星を眺めるの。」
【玲】「ほんとだな。」
3人は星を眺めながら昔の事を話していた。
【実】「ねぇ、ふたりとも、」
実樹はふたりの事を呼んだ。
ふたりは「ん?」と言い実樹の方をみる。
【実】「大好きだよ!!」
実樹はそう言ってふたりの肩を抱き寄せた。
3人はまた昔みたいに笑える日が来たんだなと思いながら、星を眺め続けた。
実樹はまた、お星さまにお願い事をした。
「ずーーーっと、3人で居られますように」
Fin