極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「なんか、どうしよう。この久々の恋愛がはじまる感じにドキドキする。ちょっと前向きに頑張ってみるわ」

「うんうん」

 光美にデートに誘われたら大、泣いて喜ぶんじゃないかな。いい方向に進むといいな。

 やる気を漲らせる光美とともにトイレを出て戻る途中、ふと、足が止まる。

 あれ……? 光美じゃないけれどそういえば私、この前生理がきたのはいつだった?

 思い出すと、一ヵ月以上きていないことに気づく。

 今まで一度も遅れたことはなかった。社会人になって生活環境が変わった頃も、予定通りにきていたし。それなのにきていないのはなぜ?

 ある考えが頭をよぎり、咄嗟に自分のお腹に触れてしまう。

 もしかして、妊娠している……?

 ううん、村瀬さんはいつも避妊してくれていた。でも、避妊は100パーセントではないっていうし、予定外の妊娠をしたって話も聞いたことがある。

 妊娠の可能性がゼロとは言い切れない。だけど……。

「さくら、どうしたの?」

 急に足を止めた私を心配して駆け寄ってきた光美。

「あっ……」

 妊娠しているかもしれない。そう思うと頭の中は真っ白になると同時に、焦りを覚える。

 このタイミングでもし本当に妊娠していたら……? それに仕事だって……。

「さくら、本当にどうしたの? 具合いでも悪いの?」

 心配する光美に肩を揺すられても、困惑してしまい、しばらくの間なにも言えなかった。
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