極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 最近はお腹が大きくなり、厨房に立てる時間も減っている。仕込みだけ手伝ってあとは事務作業に入らせてもらっている状況だ。

 産休に入る前にしっかり引継ぎをし、迷惑をかけないようにしないと。

 それと同時にあと少しで赤ちゃんに会えるのかと思うと、楽しみで仕方がなかった。



「へぇ、後任の人は五十代のベテランさんだったんだ。じゃあさくらも安心して産休に入れるじゃん」

「うん、おかげさまで」

 この日の夜。正式に日本に異動になり帰国した光美と大と三人で、懐かしい商店街の居酒屋を訪れていた。

 今夜は貸切。商店街のみんなが私の懐妊祝いを開いてくれたんだけれど……。主役の私そっちのけでみんな大盛り上がりしている。

「しかも真面目で厳しい人でさ、弥生さんたち慄いていたよ」

 人事からアットホームな職場と聞いていたようで、後任の人は先手に出た。挨拶の際、仕事とプライベートがしっかり区別された職場作りを目指しますと宣言したのだ。

 弥生さんたちはやっていけるか不安だって言っていたけれど、きっと大丈夫だろう。数日も経てば打ち解けると思う。
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