極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 半年前に始めたところ、それを見て食べる料理を決める人も増え、食材で取ることができる栄養価を知ることができて参考になると好評を得ていた。

 目を引いてもらえるよう、カラーマーカーを使用して可愛く仕上げると、時間はあっという間に過ぎていく。

 弥生さんたちは十六時に退社。誰もいない食堂を一周して最終確認し、戸締まりをして私も十七時の定時で会社を後にした。


 帰りもまた満員電車に揺られてニ十分、降りた駅の改札口を抜ければ昔懐かしい下町の風景が広がっている。

 活気で溢れる商店街のアーケードの下を進んでいくと、次々と声をかけられた。

「さくらちゃん、おかえり」

「ただいま」

 陽気な声でいつも真っ先に出迎えてくれるのは、魚屋の新(しん)さん。

「ちょうどいいところに来た。コロッケ食べるか? 揚げたてだぞ」

「いいの? ありがとう!」

 私を見かけるたびに、昔からなにかくれるのは肉屋の紀夫(のりお)さん。

 その後も八百屋、花屋、雑貨店の店主から次々と声をかけられながら進んでいくと、商店街の中腹にある両親が経営する弁当屋が見えてきた。

 店頭には人だかりができている。今日も大盛況のようだ。
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