都の剣〜文化祭バージョン〜
巫女の姿の女の子は神条沙月(しんじょうさつき)。明るい高校二年生。

一見どこにでもいそうな高校生だが、沙月には普通ではないことがある。まず家が神社だということ。神社のお守りを作ったりすること。ーーーそして、妖怪と一緒に暮らしていて、その妖怪たちと共に悪い霊や妖怪を退治しているということ。

一つ目の男の子も、泣いている女の子も妖怪だ。男の子は一つ目小僧のひとめ。女の子は雪女の妹のつらら。

「つららちゃん、もう大丈夫だよ!だから安心して」

「だって、だって……いきなり水をかけられたんだもん」

ひとめは度を超えたいたずらをしてくるので、沙月はまたかとため息をついた。いつもひとめの標的は大人しい性格のつららか、体が石なので素早く動けない二宮金次郎だからだ。

沙月がつららを慰めていると、ストンと沙月の背中に嵐猫が座った。嵐猫は見た目が猫だが風を操ることのできる妖怪だ。

「嵐猫、どうしたの?」

嵐猫はガタガタ震えながら言った。

「さ、沙月……。この寒さが異常だと思わない?」

確かに、寒い。沙月は嫌な予感がした。

「待って……。もしかして……」

「うん、お姉様がお怒りだぁ」

道や沙月の家や神社を氷で包みながら、真っ白な着物に白い肌の美しい女性が現れる。その顔は無表情で、その人を見た誰もが言葉を失っていく。
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