My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4

 でもすぐに王様の部屋が真っ暗だったことを思い出す。

「もしかして、それも呪いの……?」
「かもしれないな。ごめん、カーテン閉めてもらっていい?」
「あ、はい!」

 私は慌てて大きな窓へ走った。
 厚手のカーテンを閉めると、部屋の中はほとんど真っ暗になった。
 足元に気を付けながらソファへ戻る。

「どうですか?」
「ありがと。うん、かなり楽だ」

 言ってアルさんは薄目を開け、弱々しく笑った。
 そんないつもとは別人のような彼を見て、ぎゅっと喉の奥が苦しくなる。

「……ごめんなさい。アルさん」
「ん?」

 私は彼の前に座り込む。

「あのまま王子が王妃様に笛を渡していたら、もっと早く治ったかもしれないのに……」

 私が王子にお母さんが街にいるかもと言い出さなければ、彼はもっと早くにその苦しみから解放されていたのだ。
 私が彼の苦しみを引き延ばしてしまった。
 なのにアルさんはゆっくりと首を振った。

「ううん。俺も殿下にはすっきりして欲しいしさ。それに、王妃様が笛を吹いても呪いが解けるとは限らない」
「そう、ですけど……」
「寧ろごめんな、カノンちゃん」
「え?」

 なぜ謝られたのかわからなくて目を瞬く。
 こちらを見る彼の瞳はとても優しい。

「あいつのこと、許してやってくれな」
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