My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4


 私は彼女の硬い皮膚に額を付ける。

「ビアンカ、もうお別れだね……。こんなに遠くまで本当にありがとう」 

 初めて会ったとき、おっかなびっくりその身体に触れたことを思い出しながら私は言う。

(ライゼちゃんに鱗を掴んでって言われて、びっくりしたっけ)

 飛行中最初は心許なかった背中の上も、今や寝てしまえるほどになってしまった。それだけ彼女の背中は心地良かった。

 彼女との思い出が次々と蘇ってくる。
 突然冬眠してしまってものすごく心配したことや、それでも私を助けに来てくれたこと。

「私がフィエールに連れていかれたとき、ビアンカ寒くて大変だったのに助けに来てくれて本当に嬉しかった」

 絶望の中この白く大きな姿を目にしてどんなに安心したか。
 ライゼちゃんとは違って言葉を交わすことは出来ないけれど、彼女はいつだって優しかった。

「全部、ありがとうビアンカ。あなたと旅したこと、絶対に忘れない」

 まずい。声が震えてしまう。
 誤魔化すように私は顏を上げた。

「ツェリウス王子とクラヴィスさんもね、ビアンカにありがとうって。本当に助かったって言ってたよ」

 ビアンカはそんな私を優しく見下ろしていた。
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