恋は、二度目のキスのあとで―エリートな彼との秘密の関係―


『あのさ、付き合ってくれない? 俺、千絵のこと好きなんだけど。結構ずっと……結構っていうか、その、すごく好きなんだけど』

そんな告白をされたのは、高校に上がってすぐの頃だ。

学校帰りの夕暮れの公園。
空も砂場も滑り台も、すべてが優しいオレンジ色に染まっていたのを今でも覚えている。

犬の散歩をするひとがたまに通りがかるだけの、人気のない公園で、柊二と私は隅にあるベンチに座っていた。

『ちょっと話してかない?』なんて誘われたときには、珍しいなと思ったけれど、まさかこんな話だとは思っていなかっただけに、頭のなかはまず真っ白に染まった。

はっきり言えば、この時まで私は柊二をそんな風に見てはいなかった。だって街を歩いていただけでスカウトされて、とんとん拍子にモデルなんて始めてしまう柊二と私じゃ世界が違う気がしたし、なにより柊二はすごくモテたから。

小学校、中学校と女の子に囲まれる柊二を、いつもすごいなぁと感心して見ていただけだった。

柊二を取り囲む女の子は、学年でも可愛いとか綺麗だという理由で人気の高い子ばかりで、同性の私から見てもキラキラしてまぶしかった。

そんな子に好意を寄せられる柊二も負けず劣らず輝いていたから、お似合いだとも思ったし、でも幼馴染としては、こうして離れて行っちゃうんだろうなぁということを痛感して少し寂しくも思っていた。


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