恋は、二度目のキスのあとで―エリートな彼との秘密の関係―


キスもそれ以上のこともお互いが初めてで、うまくいかないこともたまにあったけれど、でも嬉しかったし幸せだった。

なにより、柊二は態度で気持ちをいつだって伝えてくれたから、それが心地よかった。

小さなころから一緒にいるということもあって、信頼関係も結べていたと思う。
お互いの考え方はわかっていたし、喧嘩もそこまでこじれたりもしなかった。

そんななか、柊二の部屋を訪ねた際、知らない女の人とベッドにいる柊二を見てしまってショックを受けた。

翌日、様子のおかしい私を捕まえた柊二に見てしまったことを説明すると、これでもかってほどに謝られ、結果許すことにして、またやりなおそうとしていたのだけど。

『だから、昨日はバイト先のひとと一緒だっただけだって。ただのモデル仲間だよ』
『ただのモデル仲間が、柊二の携帯に勝手にでるの?』
『そういうひとなんだよ。ひっかきまわすのが好きっていうか、面倒なひとだから、変に向き合った方が損だし、放っておいてるだけ。それに、ちゃんと付き合ってる子がいるって話してるし、ただ電話に出たからって変な心配しなくていいから』

それはわかっていた。でも……信じきれない理由があった。だって――。

『でも、前、浮気した相手だって、モデルさんだったでしょ……?』

掘り返しちゃダメだってことはわかっていた。
でも、我慢することもできなくてつい口にした私に、柊二は面倒くさそうに目元を歪めていた。


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