ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
『お待たせしてすみません。こちらへお掛け下さい。』
「あっ、先生直々に椅子を勧めて下さるなんて・・・こちらこそすみません。」
『・・・・・・・』
わざわざ一番最後の診察になってもいいから俺に子宮がん検診をしてほしいと希望してくれたその女性。
話しぶりは体育会系という感じだが、外見は落ち着きのある大人の女性といったところ。
顔色も良さそうだし、病院という場所には縁がなさそうな雰囲気。
そういえば、検診希望だって言ってたしな
でも、他に何か問題があるかもしれないから、ちゃんと症状とかを聴かなきゃいけない
『今日はどうされました?』
「偵察です!!!!!」
『・・偵察・・・ですか?何の?』
「日詠先生の!!!!!」
突拍子もないその返答にどう対応したらいいのかわからない俺は目で佐々木さんに助けを求める。
「日詠先生めあてで来院される患者さん、結構いるんですよね。腕も顔もいいって評判ですし。」
『・・・・・・・・』
ニコニコ笑いながらそう説明する佐々木さん。
佐々木さんにフォローを期待しちゃいけなかったのか?
そんなことを考えている俺の頭のてっぺんから足の先までを目の前にいる患者さんが舐めるように見つめている。
「うん、イケメン♪・・・っていうかどういうことよ~。」
どういうことかは俺が聴きたい
子宮がん検診はどこへ行ってしまったのか?
患者さんにペースを委ねて
このままグダグダした状態が続けるのか
それとも、自分から本題に踏み込むのか
それらで頭が埋め尽くされ始めた頃だった。
「ホットミルク、効果抜群だったみたいですよ~日詠センセ。」
『・・・・・・・?!』