ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋


ホットミルクのことを知っている?
それを知っているのは病棟看護師ぐらいなハズだ
病棟看護師の知り合いなのか?


俺を偵察に来たらしい目の前の相手を探り始めたその時、

「伶菜・・・彼女を助けてくれてありがとうございました。」

目の前の患者さんはさっきまでの高めのテンションがウソのように思えるぐらい神妙な面持ちでそう言った。



『・・・・・・・・・・・』

「日詠先生、驚かせてしまってごめんなさい。あたし、伶菜の大学時代からの親友なんです。高梨伶菜。ついこの間まで入院していたので覚えてますよね?」

『・・・・・・・・』

「伶菜からいろいろ聴きました。その中で日詠先生には本当に良くして貰ったって聴いてます。」


本当に伶菜の親友かはわからないが、伶菜が入院中、身の回りのものを用意してくれたのは友人らしいと福本さんが聞き出してくれていたっけ
その友人は彼女なのか?

でも、個人情報を漏らすわけにはいかないから
これ以上、伶菜の話をするのは良くない



『そうですか。でも、申し訳ないですが、僕は存じ上げない話みたいです。』

「・・・そうですよね。お医者さんが患者さんのことを他人にペラペラ喋ったりすることはできませんよね。でも、あたしの子宮がん検診は是非お願いしたいのですが・・・」

『わかりました。』



伶菜の名前を口にされて
何も知らないフリをするのは結構大変だ

この人は今、東京にいる伶菜がどうしているのか知っているかもしれないんだ・・・


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